IS〜Phantom operator〜IS長編

□IS学園入学
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「全員揃ってますねー。それじゃあSHRはじめますよー!」
 黒板の前でにっこりと微笑む女性副担任こと山田真耶の言葉を切っ掛けに、教室内は緊張感に包まれていた。
「それでは、皆さん、よろしくお願いします」
「………」
 その緊張感のためか、誰からも反応が無かった。
「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」
 …はぁ…これって想像以上にキツイな…
 ボサボサの鼻先まで垂れ下がっている前髪と肩胛骨まである長髪の青年、獅子神ディアスは椅子に寄りかかって天井を仰ぎ見て、過去を思い出した。
 この世界に転生して15年…漸く、原作に突入か…しかし…あの代償…洒落にならねぇよ…
「獅子神君っ!」
「…あぁん?」
「ひっ!あっ、あのごめんなさい。怒ってる?怒ってるかな?自己紹介で『さ』が終わって、今『し』の獅子神君なんだよね。だからね、ゴメンね?自己紹介してくれるかな?ダメかな?」
 いきなり大声で呼ばれて、気だるそうに視線を声のした方を見れば、副担任の山田真耶が頭を下げながら事情を説明した。
「解った。すりゃ良いんだろ。」
 どうやら、一夏の自己紹介とその騒ぎは既に終わったらしく、一夏の机に目を向けると、頭にたんこぶを生やして煙を上げて倒れていた。
「本当?本当ですか?や、約束ですよ。絶対ですよ!」
 俺が怖いのか、山田先生は少し遠くで熱心に言うと、深く溜息を吐きながら立ち上がり
「獅子神ディアス、一応日本人?以上」
 それだけ言うと、ディアスは直ぐに席に座った。周りの雰囲気から『もっと色々と喋ってよ』『これで終わりじゃないよね?』と感じるが、無視した、
 …仲良くなって、あの過去を知られる位なら…俺は誰とも仲良くなんてしない…
 内心で一人呟き、ディアスは椅子に寄りかかって天井を仰ぎ見た。
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