☆読み切り☆

□〜キズアト〜
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「…そんなに、挿れたいの?」
試すかのように、同じところに指が触れる。逃したくなくて、上から自分の手を重ねて押さえつける。それから一層高く腰を浮かせると、待ちきれないといわんばかりに熱帯びた切っ先を浅ましくそこに擦り付けた。
「 ── んっ…」
長谷川の口から、掠れた声が洩れ出す姿を見て、和哉が口許に笑みを浮かべた。
「長谷川くんってば、いやらしいんだ」
場違いなほど軽やかな声の後、胸の小さな飾りを唇で摘まれて、長谷川の肩が跳ねた。舌先で捏ねられ、自分の動きと和哉の愛撫とで引き出された快感が下肢に集中し、沸き立つ熱が限界を訴え続け、シーツの上に新たな水跡を残す。弱いところを甘噛みされて、水際にあった快楽が一気に頂上へと駆け上がっていく。
「あ、…いきっ…そ……」
「我慢、我慢」
「…ちょっ…、…んんっ」
あとひとつ、刺激があれば ── そんな局面を迎え、ひときわ大きく息を吸ったところで、すべての場所への愛撫が止まった。
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