イナズマイレブンGO
□剣城君と葵ちゃん。
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「空野」
ふと自分の名前を呼ばれて振り返る。
目つきの悪い、ポーカーフェイスで紺色の髪を逆立たせた少年。
サッカー部の剣城京介君だった。
彼は最初は敵だったが今は仲間だ。
サッカー部でちゃんと練習に出るようになってからは私にも優しくしてくれた。
「剣城君。どうかしたの?」
「それ」
「え?」
剣城君が指差したのはクーラーボックスだった。
現在、私の両肩には一つずつクーラーボックスがかかっている。
それがどうしたというのか。
「クーラーボックスがどうかしたの?」
「…貸せ」
「え?」
「どっちも貸せ。持つから」
「!」
なんて優しい。まるで紳士。
でも、ここはマネージャーの私が持たなければならない。
私は剣城君の言葉を柔らかく断り歩き出そうとした。
「…じゃあ一個な」
「えっ。ちょっ」
「力仕事は男にやらせろ」
「…ありがとう」
軽くなった左肩を撫で、また再び歩き出した。