VOCALOID
□りりいあちゃん。
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「先輩。今日は何するんですか?」
「う〜ん、今日は特になんにもないからな〜。暇だねぇ…」
「……」
IAはLilyの相変わらずのだらけっぷりにため息をついた。
IAの会社からでたVOCALOIDはIAしかいない。だからインターネット社のVOCALOIDが集うこの家で過ごしているのだが、マスターが曲を作るために持ち合わせておかねばならない作曲の才能があらず、毎日苦戦していたのである。
作詞まではうまくいってるのだと本人はいうが、IAからしたら作詞すら満足に出来ていないような気がしてならない。
「マスターがあんな調子だし。暇すぎ」
「そうですね。あれ、ポッキーがある」
「うそっ。ポッキー? あ、ねぇIA。ポッキーゲームしようよ。ポッキーゲーム」
「ポッキーゲーム?」
ポッキーゲーム。ポッキーの端を一人ずつくわえて食べ進み、どちらが先にポッキーを折るかとううゲーム。ちなみに、折った方が負け。
IAは「まあ、なにもしないよりましですしね」とゲームを承諾した。
「よし、やろうか。はい、くわえて」
「むぐ。ちょこのあじがします…」
「当たり前でしょー。一応チョコレート菓子なんだから」
Lilyのスタートの合図でゲームが始まる。
サクサクと両端から食べ進め、ちょうどあと10pの所でIAの顔が真っ赤に染まる。
「ひぇ、ひぇんぱい。このひぇんで、おひまひに…」
「…そーね」
Lilyはいっきに食べ進め、IAの唇に自分の唇を当てる。
そのままIAを押し倒し、口元についたチョコを舌で舐めとる。
「んっ…せ、せんぱ…」
「かーわいい。またしよーね」
Lilyはそういうと、自分の部屋に戻っていった。
IAは唇にそっと触れ、顔を真っ赤にして倒れた。
(…な、なに。あの人…!)
Lilyの髪から香る百合の花の香りが、カラダから醸し出される色気が、妙に頭から離れなかった。