イナズマイレブン

□コンビニへ行こう。
1ページ/1ページ



 合宿の日の夜。雷門が突然俺のもとへやってきて言った。

「こっ…コンビニっていう所へ行ってみたい、のでっ!ご一緒、してくださいっ!」

 「行ってみたい」という言葉にまず驚いた。
 さすがお嬢様。コンビニに行ったことがないとは。
 俺は苦笑しながらそれを承諾した。

「わ、わ〜…ここがコンビニ…」

 涼しい店内をぐるりと見回して回り始める。
 ついでだ、俺もなにか買おう。

「…雷門、何か欲しいものとかあるか?」
「え? 何故?」
「一つくらいならおごってやるぞ」
「ほっ本当っ? じゃ、じゃあミルクティーをお願いできるかしらっ?」

 500ミリリットルの牛乳パックのミルクティーを持ってきて目をきらきらさせた。
 それがなんだかとても可愛く思えて、また苦笑する。

「ありがとうございましたーっ」

 店内を出ると、段々と涼しくなってきて快適な温度になっていた。
 夜ということもあってか、少し肌寒かった。

「ほら」
「ありがとう…ごめんなさいね。付き合わせてしまって…」
「いや、いいよ。気にするな」

 ミルクティーの後に、ストローを渡す。
 ストローを指して飲んでみる姿がなんだか笑ってしまう。

「あら、意外と美味しいわね。…私の顔に何かついてるかしら?」
「いや、雷門はティーカップでしか飲まないって固定観念が」
「やだ、コップでも飲むわ」
「ははっ」

 さらに笑ってしまう。
 コンビニの帰り、自転車で来ていた俺は荷台に雷門を乗せて河川敷あたりを走っていた。

「重くない? 大丈夫?」
「ああ、平気だ。雷門も大丈夫か?」
「私は平気よ。今日は本当にありがとう。楽しかったわ」

 そうだなと答えてしばらく黙る。

「また、コンビニへ行こう」
「…ええ。また」


「「二人で」」


 二人同時に言った事が可笑しくて、少し笑っていた。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ