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□trick or …?
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オレンジと黒を基調とした飾りつけをされた校舎を見上げて握りしめた拳に力を入れる。
鞄の中にも制服のポケットの中にも沢山のお菓子を詰めてある。




「跡部、おはよう」

「っ!…あぁ。おはよう」

後ろから滝に肩を叩かれて思わずびくりと体を震わせてしまった。

「もしかして、警戒中だった?」
「あぁ。今日はいつ飛びかかられるかわかんねぇからな」

「毎年この季節は本当にねぇ」
「ったく、ここは日本だっての」

今日1日起こりえることを考えてため息をつく。
そんな跡部を見て滝は
クスりと苦笑をこぼした。

「でも、"行事は大切にしろ!"とか言って企画を持ち込んだのは跡部じゃない」

「……」

そう、もとはと言えば氷帝学園に入学した跡部が当時まだ日本ではあまり馴染みの無かったこの行事を浸透させようと始めた企画。
今日は10月31日。
ハロウィンである。

「…チッ、こんな予定じゃ無かったんだよ」

跡部だって初めの年は吸血鬼の仮装をして楽しんだものだった。


しかし
この学園の良いところというか、悪いところというか
"ノリ"がよすぎるのだ。

生徒だけではなく教師達までも仮装をし始めて、
校内は悪魔やお化けだらけ。
一体誰に
「トリック オア トリート」
とお菓子をねだればいいのやら。

おかげで仮装をしていない数名の生徒は学園中からお菓子をたかられて。
仕方がないから
2年目からは発案者である跡部もお菓子をあげる方にまわる事となったのだった。

「まぁね、でもみんな楽しんでるしいいんじゃない?
俺たちは大変だけど。」


やれやれと言う風に小首を傾げる滝と、意を決して校舎に入った。





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