企画

□変態に恋されちまった5題
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「〜っっ」
思わず振り上げてしまいそうになる腕をぐっと抑えて自分に言い聞かせる。

(ここで殴ったら負けだ、我慢だ、我慢!)



・・・

さかのぼること30分前。
部活も終わり、部誌をかいていたところへ自主練を終えた忍足が皆より遅く帰ってきた。

(最近は練習熱心じゃねえか)
なんて感心していた跡部が忍足と一緒に帰るため急いでペンを走らせていると、
妙に色っぽい鼻唄を歌いながら忍足が近づいてきた。
そのまま跡部が向かっている机に顎を乗せる。

「け〜ちゃんっ」
「なんだ」

部誌を綴る手は止めず声だけで応える。

「相変わらず綺麗な字やねぇ」
「当たり前だ」
ちらりと忍足を見れば上目遣いでニコニコと微笑んでいる。
正直これっぽっちも可愛くはない。

(気持ちわりぃな)

「もうちょっとで終わるから着替えて待ってろ」

「えぇ―――」

不満そうにする忍足を無視してしっしっとロッカーへ追い払う。

「つれへんなぁ」
とぼやきながら着替えるのを確認してから再び部誌に意識を戻す。

(あと少し…)

最後の項目に移ろうとしたその時。

「…っっ!?」

いつのまにか着替えを終えた忍足が跡部の頬を擽るように撫で上げた。

「こらっ、忍足てめっ」

「ただのスキンシップやん?
コミュニケーションをはかる大切な手段やで!」

「、あぁ、まぁな」

少々の擽ったさを我慢してペンを進める。

すると、

「っっん!?」

今度は鎖骨に下りてくる忍足の手のひら。

「ちょ、てめまじで「気にせず続けて?ただのスキンシップなんやから」

手の動きがなんだか厭らしい。

コイツは少々中学生らしくない性癖をもっているから、このままうっかり雰囲気に流されて忍足の好きなスリルある部室プレイに…
って事もあり得ない話ではない。
というか恐らくそれを狙っているのだろう。

生憎俺はそんな気はさらさらないので無視を決め込む事にした。

(大体、どうせ今日は泊まるんだから夜でいいだろ…)

そうしている間も忍足の手はするすると下がってついにユニフォームの中に。

胸板を撫でる手。

「っっ」

「景ちゃんの足すべすべや〜。あ、これもスキンシップやから」

なんとも間抜けな顔をして足まで撫で始めた忍足の顎に思いっきり頭突きを喰らわす。


「それはセクハラだろうがぁっ!!」

「ぐはぁっ!!」





(もういい、俺は着替えるから外で待ってろ)

(あ、着替えるの…)

(手伝わなくていい!!)




それはスキンシップじゃなくてセクハラだ!






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