氷帝2

□機密幸福論
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 お前と二人きりの世界にいられたら、と考えた。
だけど。二人きりでいる俺たちを想像したら、その場所はテニスコートで。
どうしてもテニスを捨てられないという事実に。
どこまでも俺は俺なのだと、苦笑した。


 秋になったと言っても涼しさを感じ始めたのは10月に突入してからだった。
あの、暑い。熱い夏が過ぎて一ヶ月も過ぎると、我らが氷帝レギュラーの誕生日ラッシュが始まる。
だからだろうか。部活は自由参加とはなったものの、クラスも離れている癖にいつもの面子で昼食なんかを共にしているのは。
なんとなくまだ浮き足立っていて、だけれど確かに終わりは近づくこの季節。忍足の誕生日には何を贈ろうか、と大声で話し合っている岳人と宍戸を横目で見ながら、今朝触れた彼の指先がひんやりと冷たかったことを思い出した。
もう、10月も半分が終わる。
時間の長さを早く感じるというのは、頭を使っていないからだと言ったのは。どこの学者だっただろうか。

 こんなに頭を使って、彼のことを考えているというのに。
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