朝霧桜は百合色に

□EP2 学校でしよう!
1ページ/26ページ


大分涼しくなってきた10月のあたまの金曜日、放課後の誰もいない教室の中で、アタシは窓際の席で座ったまま椅子を傾けて遊んでいた。


机の上には今週中にやらなきゃいけない数学の課題プリント三枚が置いてあるが、三角関数の公式が思い出せず、書きかけのまま。


わざわざ公式の確認のために教科書を開く気分にもなれず、アタシは広大なグラウンドの運動部を見ながら考えていたものの、思い出せず。



グラウンド上の生徒は、三年が引退したぶん一学期よりは少ないものの、他の学校に比べれば格段に多い。


練習している部活も、野球部やサッカー部、テニス部等ごく普通の部活から、アメフトやハンドボール、果ては自動車部や馬術部といった普通の高校じゃみられないような物までいっぱいある。


外周を走っている部なんか、格闘・山岳・ボート・射撃・アイスホッケーなど、思いつく限りの運動部がこれでもかというほど練習に励んでいる。


もちろん数が多いのは文化部も同じで、多種多様な部活が今も校内のどこかで熱心に活動しているんだと思う。


だからといって別にうちの高校が部活動に力を入れている訳ではなく、ただ単に生徒数が極端に多く、その分部活動も多いだけである。


それでもマイナーな部活ではそれなりの成果をあげてきているらしく、うちの高校はスポーツ校としての評価も着実に上がってきているらしい。





「帰宅部のアタシには関係ないんですけどね〜」




椅子の足で絶妙なバランスを維持しながら、余裕の面持ちでアタシはあくびした。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ