story

□ひらり
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「花見楽しみですねェ」
「そうだな」

随分急な提案だったが、近藤さんは二つ返事で賛成してくれて、俺は花見の下準備に取りかかる。

花見の日程が隊士に告げられるなり歓声を上げた隊士どもを一喝して準備を急かした。
浮き足立つ隊士を見張りながらちらりと隣にいる総悟を見る。
浮き足立っているのは総悟も例外ではなく、さっきから楽しみで仕方ないのか目元を赤く染めながら、俺の持っている花見の計画書を覗きこんでいる。
去年の花見でも思い出しているのか、時折思い出し笑いしそうになるときゅっと唇を噛み締めて耐えている。
可愛い。

「みたらし団子忘れないでくだせェよ?」
「わかってるよ」
「あと、酒は鬼嫁な」
「未成年の飲酒でしょっぴくぞ、クソガキ」
「土方さん、この世界はサザエさん方式で進まないんですぜィ?俺だって本当なら成人してまさァ」
「だったら18歳にしたゴリラ(作者)を恨むんだな」

相変わらずの憎まれ口を叩きあいながらも着々と進む準備を眺めている総悟は嬉しそうで、頭を撫でてやったら「触るな」と気恥ずかしそうに手を払われた。
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