story

□ひらり
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「花見しやしょ!!」

元気良く部屋に飛び込んできた総悟の第一声はそれだった。
俺は先日行った捕物の書類作成中で忙しく、また後でと言って総悟を部屋から追い出した。
総悟は俺が仕事に夢中のときは何をしても構ってもらえないとわかっているため、ぶつぶつと文句を言いながら部屋から出ていった。

「もうそんな時期か…」

筆を止めてぽつりと呟けば、開けっ放しの襖から外を見る。
外は晴れ晴れとした青空が広がり、入ってくる風は暖かく心地好い。

毎年桜が満開になる時期を行われている真選組総出の花見は今年はまだやっていない。
確かに最近暖かな陽気が続いて、明日辺りは満開になるかもしれない。
毎年毎年飽きもせず、酒をのみどんちゃん騒ぎする花見を隊士達は楽しみにしている。
特に総悟は、こういった祭り事が好きなようで桜が咲き始めると毎年そわそわし始める。
そんなあどけなさが残る総悟を見るのも俺なりの春の風物詩としている。

ふと壁に掛けられたカレンダーを見れば丁度明日はこれといった用事もなく、捕物も数人捕り逃したものの、あの人数ではしばらくは動けないだろう。しばらくは平和な日々がおくれそうだ。
決行するなら明日だろう。

早速近藤さんに交渉するべく、バキバキに固まった体を解しながら俺は部屋を出た。
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