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□俺の想いは誰のもの?(土方視点)
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「総悟ォォオ!!」

早朝から屯所に怒鳴り声が鳴り響く。当然の如くその怒鳴り声の持ち主は土方であり、怒鳴られているのは沖田だ。

「なんですかィ、土方さんこんな朝っぱらから怒鳴ったりして」
怒鳴られている当の本人はやれやれと言いたげに土方のいる寝室に入ってくる。

「なんですかィ、じゃねぇだろ!!それはこっちの台詞だ!!朝っぱらから人の部屋にバズーカ射ちやがって、何のつもりだ!!」
顔に青筋を浮かべ睨み付ける土方を沖田は特に気にしていない様だった。

土方の部屋は沖田が放ったバズーカにより見事に丸焦げ状態。当の土方は上手くバズーカを交わしたらしく無傷であった。

「お疲れな土方さんのためのお目覚めコールでさァ」
「どんなお目覚めコール!?目覚めるどころか永眠するわ!!」
「沢山眠れて疲れも飛ぶだろィ?」
「疲れどころか違うものが飛んでいくだろぉが!!」
こんな事は日常茶飯事。土方は溜め息をついた。

飽きずに毎日こんな事を仕掛けてくる事への溜め息でもあったが、何よりこんな事をされても尚愛しいと思ってしまう自分への呆れの方が大きかった。こんな時、自分がどれ程彼に惚れているかを改めて実感させられる。

「で?わざわざお前はこんな事をするために早起きって訳か?」
「まぁ、そうですけど。こんな事とはなんでさぁ、こんな事とは」
頬を膨らませながらぶつぶつと文句を言う彼もまた愛しくてつい笑みが溢れた。

彼が毎日自分にどんな嫌がらせをしてやろうかと真剣に考えている。ただそれだけで心が満たされる。毎日嫌がらせを考えるということは、すなわち毎日自分の事を考えているということ。
これは彼が無自覚でも考えるように土方が仕向けたこと。

土方は静かに微笑みまだぶつぶつと文句を言っている沖田を抱き寄せた。

「好きだ」

そう一言耳元で呟けば彼は顔を真っ赤にして自分を見る。その表情から言葉にしなくても気持ちが伝わってきて心地よい。
きっとこの先何年、何十年経ってもこの気持ちは変わらない。
土方は静かにキスを落とす。

――俺の想いは貴方だけのもの――
 

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