「あー、フランあれ取って、あれ。」
「…自分で取ってくださいー。」
そう言いながらベルフェゴールが欲しいものを手に取り、渡すフラン。
昼から暇だろ?と言う声とともに昼食後すぐ、半ば強制的にベルフェゴールの自室に連れてこられたフラン。
何か用事があるのかと思いながらついて来たものの、自分を呼んだ本人は大きなソファに寝そべりながら雑誌を読み始めた。
しかたなく自分も近くの小さめのソファに座り、散らばってる雑誌の中から1冊手に取り、パラパラと読み始める。
「…ったく、なんでミーのこと呼んだですかー…。」
そんなフランの独り言を余所にベルフェゴールは鼻歌を歌っている。
「なーフラン、コーヒー飲みたくねー?」
「…どうせ、ミーにいれさせようとしてるんでしょー。先輩なんでミーのこと呼んだんですかー。」
「ししっ♪そんなの、フランと一緒にいたい以外に何があんだよ。」
「っ…!」
さも当たり前のように答えたベルフェゴールの方を思わず見るフラン。
「なんだよ。お前はいたくないわけ?」
その答えは聞かずとも分かってるというような顔でこちらを振り向くベルフェゴール。
「そ…そんなこと…なくもない…ですー…。」
「ししっ♪素直じゃない奴。ま、その分王子が言ってやるよ。ギュッてしてやろーか?フラン。」
そう言うと雑誌を脇に置いて、いつもの笑い顔じゃなく、好きだって言ってくれているような優しい笑顔でフランの方に両手を広げてみせた。
「…っミー!コーヒーいれてきますー…!」
パタパタと散らかっているものを避けながらキッチンに向かうフラン。
そんなフランの後ろ姿を微笑みながら手に顎にのせて見ているベルフェゴール。
これがとある恋人達のある日の出来事…
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