03/23の日記

23:20
【戯言】零崎さん家の次男さん
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呼吸を落ち着かせて、力強く一歩を踏み出す。
全力で相手を殴って蹴って握り潰してすり潰して砕いて割って裂いて。

ぼとりと血の海に肉片を落とす。

「そっちは終わったかい?」
「終わった、終わった。片付けよろしく」
「私がやる訳ではないんだけどもね」

困ったように笑う片割れ放置で滴る血を払う。

俺の武器は自分だ。拳で素手で敵を殺す。
自分の手の中で砕ける骨の感触も潰れる肉の感触も、もう慣れた。覚えた。

気持ち悪いと思わねえのは俺が殺人鬼だからか?
まあそれはそれで、俺の本質が殺人鬼だから仕方ねえよな。

「早く帰って、シャワーでも浴びようか」
「腹減ったわ、俺」
「なら私のカレーでも食べるかい?」
「カレー浴びて地中深く潜って一生出てくんな」

こいつとは、ずっと生きてきた。
拾われたのも家賊を任されたのも。

父さんと母さんの役に立てるなら、家賊の為なら俺は俺たちは死ねると思う。

家賊の仇は皆殺し、ずっとずっと続いてきた約束。
俺たち零崎を1つにまとめる鎖だ。

「俺は、家賊の為なら死ねる」
「……奇遇だね、私もだよ」
「でもお前の為には死なねえ」
「それでいいよ、私は長男で君は次男。
君は私を守る立場ではなく、君は私に守られる立場なんだから」

いつもと、変わらず。いつもと、違う。
けどそれは口に出さず、俺たちは分かれた。

俺は家賊のところに。
あいつは刺青の弟のところに。

また会えることに何の疑問も持たずに。

















その数日後、あいつが死んだと弟に聞いた。










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双識と双子ポジの殺人鬼のお話。

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