01/14の日記

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【DOD→mg】末っ子ウタウタイとレーム(多大なネタ バレ含みます)
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西の大国、レーム帝国にはマギ・シェヘラザードがいる。そしてシェヘラザード以外にも、レームを守る者がいた。

その者の名前はロク。
偽名だ、と言う者に彼女はいつも言う。
そうだよ、偽名だよ、と。

彼女には色んな逸話がある。
異界からやって来た、異界の魔法を使う、女神と呼ばれ奉られていた、などといった類いのものだ。

彼女の逸話を信じる者も入れば、疑う者もいた。
そして彼女は、どちらでもいいと笑っていた。
私は私だよ、と。

だが彼女の逸話を信じる者も疑う者も共通して信じていることがあった。
それは、彼女は強く、シェヘラザードと共にレーム帝国を守ってきたことだ。


「ねぇ、ロク。レームもよろしくね」

「………そんな悲しいことを言わないでくれるかな、シェヘラザード。
レームにはまだ、君が必要だ」

「…………私たちは、私は、長く生き過ぎた。
あの人もルフの流れへと帰っている。私も、帰りたいの」

「シェヘラザード…………」


レーム帝国とマグノシュタットの戦い。
学長であるモガメットが出した黒いジンは暴走し、世界を滅ぼさんとしていた。

ロクの目の前にいるシェヘラザードは分身体。
魔力を蓄積しておりそれを解放することで莫大な魔力を外へと放出する。

そしてロクは知っていた。
シェヘラザード本人の寿命が近付いていることに。
恐らくこの戦いが終わる頃には、彼女はもう。

二百年と少し。共にレームを守ってきたロクにとってシェヘラザードの死はとても恐ろしい。
――――自身に眠る力を使い、彼女を生かしたいと願う程には。


「ロク。私、幸せだったわ。あなたと出会えて、共にレームを守れて。
私のことを友人だと思っているなら、お願い。
これからもレームを、私たちの子を見守って」

「……………シェヘラザード。私も君に願いがある。
私の名を、本当の名を呼んでくれ。この世界では君しか知らない、私の本当の名を」


後生だ、と乞うロクにシェヘラザードは微笑んだ。
シックス。シェヘラザードの口からそんな言葉が溢れた。

ロクの本当の名。
災厄だと姉に殺され、別世界でたった一人で生きている『ウタウタイ』の末娘。
気丈に振舞う彼女は、本当は誰よりも世界に人に怯えていた。

ポロリ、ロク――――シックスの目から涙が溢れたのを見て、シェヘラザードの分身体は弾けた。
遠く海で依り代の戦っている王の器たちへその魔力を届けながら。

シェヘラザードの魔力が散り散りになったのを感じ、シックスは涙を拭った。
彼女との約束を反故にするつもりも、このままレームへと戻るつもりもシックスには無い。

自身の内で眠る力の為に、ではなく。
友人の、家族の為に。

シックスは本当の意味で世界を救う為にその口を開いた。


「我が名はシックス。ウタウタイの末にてレームの剣!友との……家族の為に、力を貸そう。
若き王の器たちよ」


どんよりと曇った空に、誰も見たことがない魔法陣が浮かび上がった。


「…………私は本当の意味で世界を救いたいんだ、ゼロ姉さん」














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