星屑置き場

□青い薔薇の花言葉2
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「その人は、女の人?」

「何よその質問。勿論、女の人」

「どんな人?」

「そうねぇ。とっても美人さんよ。気立てが良くて、心が強い」

「何歳?」

「アタシよりだいぶ年下」

「愛してるの?」

「ええ。愛してる」

ギャリーが見初めるなんて、どんな人か。
気になったイヴは、ギャリーに言及した。

しかし、聞けば聞くほど胸が苦しくなるだけ。

何だか、目の前にいる彼が知らない人のように思えてしまう。

いつになく真剣で男らしい表情に、イヴは恐怖を覚えた。

もう、好きだとすら言ってもらえなくなる。
それが怖い。

こんな日がくることはわかっていたけど。


「私に愛してるって言ってくれたこと一度も無かったのに」


やっとイヴが絞りだした言葉は、涙声だった。

一度でいい。言って欲しかった、と。柄にもなく我儘を言うように懇願するのは。

それは、イヴは彼を愛していたから。

出会った時からずっと、惹き付けられて止まない年上の彼。

愛していたからこそ、今までイヴは自らの想いを告げることが出来なかっただけ。

幼子では無くなり、女として告白してきたイヴをギャリーがどう思い、どんな答えを出すのか。

イヴには分からなかったのである。

「だって、言わないようにしていたもの」

まるで追い討ちをかけるようなギャリーの言葉がイヴの耳に入れば、イヴの頭の中でぐるぐる回る。

しかし、ギャリーの声はどこか楽しそうだった。

「決めてたの。一番最初の愛してるを言うとき」

「は?」

「ねぇ、イヴ。アタシは青い薔薇なんでしょう?アタシのプロポーズ、"神の祝福"になると思う?それとも、"あり得ない"って振られちゃうかしら?」

「そんなの――――」

分からない。

もしイヴがギャリーの相手なら、迷わず承諾してしまうのだが。

あくまでもそれはイヴの話で。ギャリーの求める答えにはなり得ない。

イヴは大きく息を吸った。
胸いっぱいに、ギャリー宅の匂いが満たされる。



ギャリーが望むなら。いつまでだって、賢く聞き分けのいい、お子さまのイヴでいよう。



そう決心を固めて、口を開く。
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