星屑置き場

□青い薔薇の花言葉2
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「イヴ」

ある日ギャリーは、自宅の白いソファーに座って、イヴを見上げていた。

ソファーの手前にある木製のテーブルを挟んで、イヴはギャリーを見下ろす。

「なにかしら、ギャリー」

「イヴは前にアタシのことを、青い薔薇だって言ったわよね」

緑色のマグを手で包んで、どこか懐かしそうにギャリーはそういった。

「そうね、言ったわ」

遠くない過去に断言した記憶があったから。

イヴは真っ直ぐギャリーを見つめ、頷き答える。


この世界には存在しないはずの、青い薔薇。

その儚さを、美しさを、ギャリーは持っている。


「イヴは、アタシ自身が奇跡を呼ぶ薔薇だって、そう言ってくれたわ。実際そんな大それた人間じゃなくて、ただのオッサンなのに」

「そんなことない」

苦笑しながら卑下するギャリーに、ただイヴはかぶりをふった。

イヴにとって、ギャリーは昔から変わらない頼れる人だったから。

確かに、イヴはギャリーを青色の薔薇だと思っている。

「青色の薔薇の花言葉。"不可能"か"夢叶う"か。イヴはどちらだと思う?」

対極の花言葉を持っている青い薔薇。

そりゃ勿論、"夢叶う"の方が素敵だけど。

イヴには、わからなかった。




「あのさ、イヴ。アタシね、ある人に、プロポーズしようと思うの」



イヴがギャリーの問いに答えず、静寂が続き。

やがてギャリーは静かにそう告げた。

重大な決意を語るその彼の顔は穏やかで。

「そう、なの」

イヴは、そう答えるしかなかった。
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