星屑置き場
□打ち上げ花火 side Ib
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花火は、綺麗だ。
真っ暗の空に、大きな音を立てながら明々と咲いて、そうして一瞬で散っていく。
花火は綺麗だ。
散りぎわの儚さが、私は好き。
夢のように美しい光が風にさらわれてしまえば、闇の夜空には何も残らない。ただ、爆音の余韻が鼓膜に残るだけよ。
私が赤い浴衣を着たら、よく似合うと褒めてくれた貴方。
大輪の花火が上がる時のような笑顔を私に向けてくれた貴方。
薔薇ではないけど、と困ったように言いながら、宝石みたいに艶々な林檎飴を買ってくれた貴方。
ねぇ。
もし私が貴方に、この気持ちを打ち明けたのなら。 好きだよ、と言ってしまったら。
貴方はどうする?