怪盗SP

□エピソード2(後編)
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つまんない。

だれーっも帰ってこない。

23時だよ〜ん。


優香は合コンだし、

兄ちゃんはお客様の買い付けに同行するとかで、広島日帰りするとか言ってたけど

どっちも帰ってこないし。

一人鍋は淋しいよ〜っ

だって、オレ鍋しか作れないんだもん。

…独り言も飽きたな。

んー…


優香、合コンで変なヤツに絡まれてないかなぁ


てか、あいつ、酒飲むとふにゃんってなるんだぞ?

これってやばくない?

23時だよ?
お持ち帰りタイムだよ?

どうするよ?オレっ!


こうやって、ダイニングテーブルを立ったり座ったり、一人で右往左往を繰り返すこと20分。

23時半が近づく頃、オレは一人疲れしてしまっていた。

ダイニングにうつぶせて、ぐたーっとしていたら、


玄関からガチャガチャとけたたましい音がした。

なんだろうと、体を起こして様子を伺うと、

ダンダンダンダンっと、物凄い足音がリビングに近づいてくる。

あれ?この足の動きは…

と勘ぐっていると、バーンっと勢い良く扉が開き

「ぜいぜいっ…そらちゃん!まだ寝ないよねっ?寝ないよね!」

やっぱり優香だ。すごい勢いで帰ってきたなぁ。


面食らってしまったオレは、目を丸くして

「うん、おきてるよ」

と、棒読みで返事をすると、優香が勢い良く近づいてオレの両手を取り

「じゃあ、じゃあ、私30分でお風呂済ませるから!そらちゃん寝ないで!そらちゃんのお部屋で待ってて!いいっ?」

「う…うん、わかった」

勢いに負けて‘うん’と‘わかった’の二回、機械的に頷づかされる。

優香はよしっと言って、着替えを取りに部屋にあがっていった。




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