怪盗SP

□エピソード2(前編)
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…・エピソード2・…

『次のニュースです。日本時間午前0時頃、フランスのパリ美術館から直径20センチのトパーズの宝飾品が、何者かによって盗みだされたことがわかりました。盗まれたのは、フランスの重要文化財に指定されている“夕暮れの海”で…』

「大地兄ちゃん、玉子できあがるから、そっちのお皿とって」

「そらのほうが近いじゃないか」

「そらちゃんは昨日遅番で疲れてるから、いいの、ほら早くぅ」

背中に兄ちゃんの『何で俺ばっかり手伝わされるんだっ』っていう怒りの視線を感じるけど、気にしない。

オレは、ダイニングに片ひじを着き、ニュースに見入っていた。

『関係者によりますと、展示されていた箇所に、ごく少量ですが、特殊なおしろいが散っており、調べたところ、全世界で指名手配中のゴージャス・マリコの物であることが判明しました。これによりフランス当局では、ヨーロッパで相次いでいる“変わりトパーズ連続強盗事件”となんらかの関連があると見て、ゴージャス・マリコを指名手配するとともに、隣国に協力を…』

ふーん…
なるほどねぇ

「よっ…ほっ…はっ!大地兄ちゃん!今だよっ」

優香の掛け声がおもしろくて振り返ってみる。



…何で玉子が宙を舞ってるんだ?


「よしキャッチだっ!見ろ優香、ちゃんときれいにチキンライスの上で開いたぞ」

「きゃあっ!大地兄ちゃんすごぉい!ケチャップでハート書いてっ!うきゃあかわいいっ!食べよっ食べよっ!そらちゃぁんっ!オムライスできたっ!」

朝食にオムライス…って。

優香、朝から兄ちゃんの好物作ってたのか…そんなに兄ちゃんが帰ってきたのが嬉しかった…?

「はいはぁーい!じゃあオレ取り皿とスプーンを用意するね」

昨日、おたんちーん!まで言ったくせに、今朝になったらいつもどおりのブラコンだし…

妬けちゃうよ、まったく。






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