秋月 海司
□凍てつく吐息
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二月の始め、昴さんとそらさんと、早番が重なった。
「飲み比べしよう」
一番先に潰れるくせに、そらさんが飲みを提案して、それに珍しく昴さんが賛同した。
本庁を出て、店を探そうと、スマホを取り出したところで、
糸(いと)に会った。
「…どうした」
「海司を待ってたの…打ち込み1000本…付き合ってほしくて…」
糸は、白い息を吐きながら、消え入りそうな声で俯いた。
「うわあ…あの細腕で打ち込み1000本…」
「そら、行くぞ」
二人を振り返ると、すでに反対の歩道を歩いていた。
…すんません。
俺は二人の背中に一礼して、糸と道場へ向かった。