short

□聞けば
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にひっ、と笑ってあなたの前に立つ。

私を見たあなたはまた来た、もしくはもう来るなと言わんばかりの顔をする。


「お前…しつこいぞ」

『二ールが諦めればいいことだよ』


そう言えば困ったような顔をして、その顔がたまらなく可愛い。
私があなたの事を好きじゃなくても、いや誰でも思うくらいに、なんて。
そのまま二ールの目を見つめていたけれど、二ールはずっと不機嫌で困ったみたいな顔をしている。


『はぁ…。二ールはいつになったら…どうしたら私の事を好きになってくれるかな?』

「…オレに聞くな」


目をそらしながらそう言った。


『最近は、目も合わせてくれないよね』

「……さぁーな」

『最初からあまり話さないけど、最近はホントにちょっとしか話してくれないよね。しかも私にだけ』

「知らねーよ」


じっと二ールの瞳を見つめてみるけど何を考えているかなんてわからない。

そうそう、ずっと聞こうと思ってたこと、今思い出した。


『二ール』


一瞬だけ二ールはリオのほうを見て、すぐに目をそらす。


『二ールは私の事、どう思ってる…?』


思いきって聞いてみた。
聞きたくもない事を言われるのはわかっているけど。


「…オレは」


言いづらそうに口を開く。


「リオの事、好きだぜ」


驚いて二ールの顔を見つめてしまう。
いつもと違って誰が見ても真っ赤な顔をしている。


『え…?』

「…あー、その、お前が好きだって言ったんだが」


あなたの顔は絶対に本気。


『なんで今まで言ってくれなかったの?』

「……あ?…お前が聞かなかったからだろ」


じわじわと私の顔も熱くなっていく。

聞けばよかっただけなのに、それをしなかったなんて私はバカだ。
でも二ールも聞かれなかったから言わないなんてズルいよね。


 
 

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