long

□3
1ページ/2ページ




ふああ、と最近戻ってきた家のなかで二ールはかなり大きい欠伸をする。
朝飯作らねえと。
ここの町に牧場主が来た。しかも女。
オレによく構ってくる。同年代がいないせいもあると思うが。


『二ール二ール!』


そう叫びながらその女牧場主が家のドアを開ける。
バァン!と離れているところに住んでいるダンヒルの家に聞こえそうなくらいの音を立てて。
何度これで入って来られても慣れない。


「……なんだよ」


いい加減静かにドアを開けろ、そう言ったがリオは聞いていない。
本当にうるさい。


『聞いてよ二ール!』

「むしろオレの話を聞け」

『でね、聞いてほしいっていう話は…』


長めの溜息をつく。基本彼女は人の話を聞く。
本当に話したい事がある時は別だけど。


『ジャガイモとかぶが同時に取れたの!形も結構いいと思うんだよね』


まあ基本はくだらない話だが。
見てよ、何ていいながらその作物を見せてくる。


「…オレは動物専門だから作物の事はよくわかんねぇ」


専門外の事はいくら聞かれてもわからない。
だからそう言ったのに彼女は思いがけない事を口にする。


『あ、そっか。じゃあ二ールと喋りたいときは動物の話するね!』


……オレと喋りたい?
何言ってんだコイツ?しかもすっげえ笑顔で。
いくら同年代のヤツがいねぇからってオレなんかより他のヤツのほうが話も聞くのもうまいと思うんだが。



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ