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「ここが君の牧場だ」


そう言われその牧場を見る。


『わあ……』


そこはとても広くてとても緑がきれいな場所。それに、懐かしい。
きっと昔お父さんとお母さんにつれて来てもらったからだろう。
祖父母に育てられた私にとって数少ない父と母との大切な思い出。
でも、幼い時の思い出だからか今になってはほとんど覚えていない。


「ここで君のお父さんとお母さんは毎日野菜作りをしたり牛を育てていたよ」


本当に楽しそうだったよ、そういって懐かしむように笑った。


『あの、ダンヒルさん。…少し聞きたい事があるんですが』


何でも聞いてくれ、そう言って笑顔を向けてくる。
きっと牧場主が、いや、人が来た事が嬉しいのだろう。


『ここの町って家が5軒くらいしかなかったみたいなんですけど、どれくらいの人が住んでるんですか?』


ここに来る途中で人がこの町を出ていくところを見てしまった。
こんなにいいところなのに。


「ああ、その、今一人は違う町に行っててな、丁度君が来たときに二人が町を出て行ったからな…」


なんだかバツが悪そうに口を開きながら今の町の人達の数を考えている。
何人くらいの人がいるんだろう。
人は少ないだろうけど仲良くなれるといいな。
そんな事を考えていたのに、ダンヒルさんは驚きの数を告げる。


「オレを含めて3人。リオくんを含めると4人だ」



 
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