BL置場

□優先的に
1ページ/3ページ

今日は部活が無いから、久しぶりに早く帰ろうと思ったんだがな

日直だってことをすっかり忘れてた

「ごめんな伊月、待たせて」

「ん?良ーよ、別に」

まあ、結果的に伊月と2人になれるんだから別に良いんだけど

「あのな、あのな日向」

「ん…何?」

「見て、これ!」

ずいっと伊月が突き出したのは手紙

「…何、これ」

「机ん中にあった手紙!」


ピンクの封筒
宛名には伊月君へ、と簡潔にそれだけ書いてある


「…何て書いてあったんだ?」

「5時半に屋上に来てって」

「なるほど」

今は5時10分

俺を待ってた、とかそんなんじゃなくて


「良かったな」


再び日誌にペンを走らせ、言う
自分でも驚くくらい冷たい声で


「良かったじゃねーか伊月、付き合っちまえよ」


声は半分笑ってた
思ってもないことを言った自分を笑う


仮にも付き合ってる相手に、そんな物見せられる伊月は無神経だと思う


「俺、別れようか」


その手紙くれた子と、付き合っちゃえば
野郎より数倍良いと思うけど


「なあ伊月、行ってあげろよ」


あと3行書けばこの空間から逃げ出せる
書き途中の日誌に落ちてる水滴には目もくれないで、白いページにペンを走らせる


「なあ、いづ…き?」


ずっと黙ったままの伊月に顔をしかめる


「何、どうしたの」

「日向…俺と別れたいの?」


声が震えてて
拳を強く握り、涙を堪える伊月を見て自分の言葉を反芻する

 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ