頂き物
□こうなったのは誰のせい
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「まぁ、いいわ。三人とも注文が決まった頃にまた来るから。それじゃ、ごゆっくり」
そう言って奥の方に引っ込んでいった店員を横目で見ながら、校長は隣のテーブルでメニューをじーっと見つめている。
(ねぇ、玲気のせいかな…すっごく居づらいんだけど…)
(あたしもそれを考えてたところよ……どうする?)
テーブルの上にさっとメニューを立てかけ二人はこそこそと作戦会議を始めた。
(また出直す?)
(それがいいかも…まだ何も注文してないし…)
真剣な表情で顔を見合わせる玲とメアリー。
出て行くなら今、と二人はそろーり、そろーりと腰を浮かせるとそのまま出口まで脱兎のごとく駆けだした。
別に悪いことをしたわけじゃないのに、なんだか急いでここを出なければいけないような気がしたのだ。
扉が目前に迫って、もうすぐこの店を出られる!と玲が思ったところで、目の前に見覚えのある赤が広がった。
勢い余って二人はその人に激突する。
「げぇ!グレル先生!」
メアリーのその声に、玲はっ!と我に返った。
「アンタ達、そんなに慌ててなにやってんのヨ」
あきれたような表情で、そこにグレル先生が立っていた。
彼は玲とメアリーから視線を校長の方に向けた。
たちまちその表情が曇る。
「まさか、また変なイタズラしてたわけじゃないでしょうネ」
「「失礼しましたぁ!!!!」」
二人は否定するように激しく首を振りながら、店を飛ぶような速さで出て行った。