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□暗殺の影響
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その日の夜は、やけに胸騒ぎがした。

正確には胸騒ぎとは少し違うのだが・・・とにかくそわそわ落ち着かない不快感があった。

それは単なる体調不良などではないし、また、理論的な根拠はなく予感めいたものだった。



「・・・嫌な夜ね」



プロンテラ北西区に位置する騎士団からやや南に一軒家がある。

ここは『C.A.N.times!』のメンバーのたまり場・・・というより住居であり事務所だった。

アルシオーネは同居人で妹分のセレッサを寝かしつけたところで、窓枠から夜空を見上げた。

セレッサのベビーピンクの髪を撫でながら、月の無い宵闇に不安を覚えた。



「こういう夜には人死の事件が起きるんですよね」



アルシオーネの呟きに肯定するように

『C.A.N.times!』のマスターであるネーデルリーゼが事件の予兆を仄めかした。

記者のカンなのか、それとも彼女自身のカンなのか、ネーデルリーゼのカンは鋭い。

彼女の魂とも言えるネタを控えたメモ帳を口元にあてがい、シルバーの瞳を宵の街へと向ける。



「アナタ、まさかこれから行くんじゃないでしょうね?」



「・・・人死のネタを喜ぶ気はないですけど、記者としては気になるんですよねー」



「止しなさいよ。厄介なことに巻き込まれたらどうするの?

アタシ達だけならともかく・・・セレッサを危険に晒せないわ」



「わかってますよ。今行くのは、良くない予感がしますからね」



アルシオーネは相棒の記者魂を知り尽くしているだけにかなり心配だったが、

ネーデルリーゼの様子を見る限り今夜の取材は控えるようだ。

何よりもまだ幼いセレッサのことを考えれば、これが正しい判断だろう。

それはネーデルリーゼもよく分かっていることだ。



二人は不吉な夜が更けていくのをじっと見守っていたが、

やがて部屋の明かりをおとすと各々就寝に入っていった。

セレッサの穏やかな寝息がせめてもの安息だった。
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