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□プロンテラ噴水前で交わす言葉
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プロンテラ噴水前で交わす言葉



〜第一戦目〜



















穏やかな陽気の昼下がり。



プロンテラ中央区の噴水広場は日当たりが良く、

この日もぽかぽか陽気に恵まれた。

午後の一休みには最適の場所だ。

噴水前には、その周囲を囲う4席のベンチが設置してあった。

そのうちの一つのベンチの前にマジックアイズを被った黒縁眼鏡のソーサラーの青年がやって来た。

頭に被っているマジックアイズの下はプラチナのような銀髪で黒縁眼鏡の奥で陽光を照り返す瞳は黄金色だ。

青年の歳はパッと見た目では20代の半ばごろだろうか。

顔立ちはとても整っていて、爽やかでほんのり甘いマスクだ。

背は高いが、体の線はスラリとしていて物腰や表情も柔らかいため、

他者に威圧感を与えることはなかった。

彼はGV新聞社であり、GVレーサーギルドでもある『C.A.N.times!』のサブマスターだ。

名はアルシオーネ・クラン・フロスティ

趣味や所作口調はいわゆる『オネエ系』というやつであるが、自身が男性という意識は持っていた。



アルシオーネは噴水前のベンチにゆったりと腰を下ろす。

小さく溜息をついて、それから読みかけの本のページを少し億劫そうに開いた。

ここに来たのは気晴らしだった。

仕事の合間の気晴らしだ。

しかし、アルシオーネはついこの間起きたトラブルを思い出してしまった。

GVという過激なスポーツの情報誌を手がける仕事柄

ごく一部の素行の悪いギルド関係者から睨まれる事は覚悟の上だった。



「・・・・・・」



こちら側に非は無かったはずだ。

しかし、それでもアルシオーネはやや憂鬱そうに表情を翳らせた。

その時だった・・・



「・・・UFO・・・焼きそば・・・」



隣のベンチからぽそりと呟きが聞こえてきた。

アルシオーネがそちらに視線だけを向けると、

隣のベンチではグレーのパーカーとデニムのハーフパンツ姿の少女が寝転がっていた。

まじまじと観察したわけではないので定かではないが、年頃はおそらく17〜18歳くらいだろう。

ボブカットの髪は一見すると黒髪に見えるが、よく見ると濃い青灰色をしていた。

黒鉄のような深い色味だった。

発言の主は午後の惰眠を貪っている真っ最中だった。

どうやら寝言らしい。



「鼻から・・・麺出てるんすけど・・・」



「(・・・どんな夢よ!?)」



アルシオーネは思わずツッコミを入れそうになるのを飲み込んで耐えた。

少女の寝言はあまりにも小さく呟かれているため、おそらくほかの人間には聞こえていない。

ここでアルシオーネがうっかり反応してツッコミ入れたり笑ってしまうと、

アルシオーネが変人扱いされてしまう。



「ふおおぉ・・・焼きそば埋めると・・・ゾンビの頭に花が咲いた・・・」



「(な、なんなのよ・・・w 何でゾンビの頭に花が咲くのよw

ていうかもう焼きそばから離れなさいよw)」



「俺の焼きそば何処いった・・・」



「(アンタがさっき埋めたでしょ!w)」



「ポリン入れたら・・・豊胸失敗・・・した」



「(ポリンなんか入れるからよ!w 話が飛んでるわねぇ・・・w

・・・ていうか、もう止めてちょうだいよw

アタシ、さっきから笑いたいの我慢してるんだからァ・・・!w)」



「・・・ああ、ダメよバフォメット様・・・私には夫(ポポリン)も子(ポリン)も居る身・・・」



「(ちょっと、何よその昼ドラ!w

もう、いい加減にしなさいよwww

ただのお昼寝にしては愉快すぎるわよ!)」



「触らないで! あたしを誰だと思ってるの!?」



「(誰よアンタwww 強気になったわねwww)」











「アタイは、じゃが○この姫だよ!」












「(ヤダこの子面白いwwwwwwwww)」
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