頂き物
□供物と主
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20XX年 日本某所の高等学校
その高校にある特殊な体質の人間?(死神に捧げられたのではっきりとは言えない)の少女が居た。
しかも見てみれば、今は授業中でその少女、朝比奈玲は、机に突っ伏して目を閉じていたのだ。
それを、数学教師ウィリアム・T・スピアーズが見逃すはずもなく。
「朝比奈玲!起きなさい。今は授業中ですよ。授業が終わったら私の所へ来なさい」
「げっ。はい…」
注意を受け、呼び出しを食らったのであった。
授業中も嫌がらせは続き、余程授業中寝ていたのを根に持っているようだった。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、号令を掛けて他の生徒はぞろぞろと席を立ち、各々の作業をしている中、玲はウィリアムの下へ向かっていた。
「失礼します。ウィリアム先生…」
「来ましたね。朝比奈玲」
自分のデスクで足を組み玲を見るウィリアム。
その無言の訴えを受けた玲は内心怯んでいた。
そして、長々とした説教が終わり帰ろうとしたとき、ウィリアムに玲は声を掛けられた。
「朝比奈玲、グレル・サトクリフとは上手く行っていますか?」
「はい!勿論!
あっ、ウィリアム先生に相談したいことがあるんですが」
「何です?」
「えーと、グレルにプレゼントを買いたくてですね」
「そうですか。で、私に何をしろと?」
「プレゼントを買いに行くの手伝ってほしいんです。ウィリアム先生なら、グレルが好きそうなもの知ってるかな?と思いまして」
プレゼントの話が進んでいく中、その話を盗み聞く死神がいた。
話の中心となっていたグレル・サトクリフである。
「(キィーッ!!玲ったらアタシ以外の死神と…しかもよりによってウィル!?許せない)」
死神グレルは、思いの外心が狭かったようである。
話は大分飛んで、プレゼントを買いに行く日。
ウィリアム先生は律儀に約束の時間30分前に来ていた。
ちらちらと時計を確認する姿は、彼女とデートをするリア充に見えなくもないが、彼の目的は同僚の供物(となった人間)と同僚のプレゼントを選ぶためである。
「ウィリアム先生ー、ごめんなさい。遅れましたか?」
「いえ。15分前です。では、行きましょう」
死神といえども英国紳士。
女性のエスコートはきちんとこなす堅物死神でした。
玲たちは、ウィリアムのエスコートのもと目的地に向かいました。赤い者が影から見ているのを知らず。
「それで、何を選ぶのです?」
「決めてないから先生に頼んだんです!」
二人は某所デパートで店を見て回っていた。
「では、小物類が良いでしょう。指輪やネックレスなどが良いかも知れませんね」
「わかりました。」
「あっ!先生、これは?」
適当に店を見て回る玲の目に、良い物が映ったようだ。
「おや、それは。
良いかも知れませんね。」
玲が見つけたのは、シンプルな十字架のネックレス。
ネームプレートが付けられて名前を彫ることもできるようだった。
見つけた品をレジに通し、ラッピングしてもらい大事そうに持つ玲。
それを見てウィリアムはある意味良い相棒を得たんだなと思った。
その日の帰り道、ウィリアムと玲は、不幸なエンカウントを起こした。
赤いアイツと出会ってしまったのだ