無双orochi2夢小説

□■赤鬼さんと一緒(6)
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鼻血が出る。
出そうだ。
ここで本当に鼻血を噴出させたら女として終わってしまうことは必至だ。
いや、女として以前に人としての大切な何かを失いそうだ。


でもやっぱり鼻血が出そうなんだ。


佐倉玲18歳。
現在、興奮真っ最中。













「赤鬼さんと一緒」

〜 orochi2トリップシリーズ6〜












妖蛇討伐軍の本陣営は常に火の川が流れている。
常に暑さに見舞われている所だが仙人達の仙術のおかげなのか、元々が不思議な世界であるため火口付近なのにそこまで熱が滞留しないからなのか、
人体に致命的な悪影響を及ぼす暑さではなかった。
夜になると冷たい夜風が流れてくるらしく、マグマから遠ざかれば少しは涼も取れた。

天幕の密集地からやや離れた高い岩場に天幕を構えるその主人は入り口と天井の幕を上げて夜風を通していた。
熱気の混じる土地であるため、むっとした空気は変らないが、それでも風通しが良くなるだけ随分良い。
天窓から覗く夜空は高く、満月と転々と煌めく星の光は大気の流れに揺らめいた。

月光が射し込む質素な褥の上では赤鬼が寛いでいた。
常に身に纏っていた戦装束は寝床の脇に置き、自身は緩みのある寝衣に着替えていた。
普段ならば寝酒を楽しんでいるところなのだが、この日は何かを待つように夜空を見上げていた。


そう、彼は待っているのだ。


一つ、風が吹き抜ける。
ふわりと酒呑童子の赤毛を巻き上げた風は、どんな美酒も敵わぬ佳い香りを乗せて駆けて行った。
彼が待ち望んでいるその香りの主は、もうすぐ此処に現れるだろう。

















「今日は星がよく見えるな〜」

玲は夜空を見上げた。
坂道を登る足を止め、頭上を照らす銀色の光を仰ぐ。
いつもよりも、やや冷たい夜風が頬を撫でた。
吹き抜けていった風の先は玲の目的地だ。
陣営を一望できる岩場の上。
そこに酒呑童子の天幕がある。
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