無双orochi2夢小説

□■赤鬼さんと一緒(4)
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『○年 △月 ×日 曇り
僕は日々の記録をつけている。
特に軍内で起こる日常を観察している。』


彼は、ふと筆を止める。
一般兵に与えられる大部屋の天幕の中。
文机の代わりに使っている木の板から視線を上げて、外を見つめる。
丁度、彼の視界を今一番の日記のネタである少女が横切っていった。
彼は瞳を輝かせた。
今日も良い日記が書けそうだ、と思った。












これは、とある兵士の軍内観察録である。











「赤鬼さんと一緒」

〜 orochi2トリップシリーズ4〜












彼は早速天幕を出ると、件の・・・異界からやってきたという少女、玲が向かった先を視線で追う。
彼女は小樽を抱えていた。
玲は飲店で働いていることを思い出す。
中身は飲店で使う食材か酒の類でも入っているのだろうかと予想を巡らせたところで、彼女が通った後に転々と液体が零れた跡が残っているのを発見した。
滑る質感と匂いからして油だ。
調理にでも使うのだろうか・・・

しかし、『それ』が起きたのは、そう思った矢先のことだった。

玲は一本の松明に近寄ると小樽を地面に置き、小さな柄杓で油をひとすくいすると・・・



油を口の中に含んだ。



嚥下の気配はなかったから、口に含むに留まっているのは確かだ。
彼女は一体何をしようとしているのだろうか?・・・などとは愚問に近い質問だ。
玲が煌々と燃える松明の前に佇んでいることからして、この後の行動は明白だった。

流石にこれは笑って見ていられる範疇を越えている。

たまたま通りかかったネネにより取り押さえられ、彼女の狂行とも言える思惑は未遂に終わった。
「酒呑童子の『たいぷあくしょん』」がどうたら「ろまん」とやらがうんたらかんたら、何やらよくわからない言葉を繰ってその場を逃れようとしていたが全てネネの問答無用なお仕置きの前に沈んでいった。
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