四天王寺

□妹
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「先輩達キモいっすス」

いつもどうり始まった部活。
今日は俺財前光と、部長白石蔵ノ介が練習試合をする日。

せやけど……

「ケンヤさんあの子誰ですか?」
「あいつか?あいつは白石の妹ユカリや!白石がちゃんと部活しとるか見に来たらしいで」

『蔵リーンしっかりせーよ!』

大声で叫ぶ妹に、わかっとるわ。とひとつ溜め息をする部長。
ー女子の前じゃあやりにくいなあ……




「Game and much 白石!6-4!財前、大分強なったな」
「ケンヤさんになら勝てるんスケドね」
「なんやと?!」
『蔵リン、手加減せなアカンやん』
いつの間にか俺たちの輪の中に入っていたユカリ。
「さっき、しっかりせい言うたのお前やろ!」
『しっかり手加減せい!言う意味や!』
この二人の口喧嘩を綺麗に無視し時計を見る。

5時40分……

「先輩、部か……」
あーだこーだと言い争いを続ける白石兄妹。
ーもう帰りたいんスけど……
「残念やなー財前。この喧嘩、もうちょい続くで!」
ー……






ー翌日ー


朝練のため早起きーと言っても、30分遅れーをしテニスコートに向かっていると……
『財前さーん!』
聞き覚えのある声に振り向くとー
小走りにこっちに向かって来るユカリ。
無視してテニスコートに向かおうとすると……
『いや、何で無視すんねん!』
ふぅ……と俺の元に来たユカリはニコッと笑顔になりー
『財前さん、ですよね?うち、蔵リンの妹のユカリですぅ!』
「知ってる……」
『ホンマですか?っていうか、財前さん部活の時間過ぎてません?』
「知ってる……」
『知ってるんやったらさっさと行けや!』
ー……自分が足止めしとるんや。
テンションがやけに高いユカリを俺が見下ろすように見とると、キョトンとした顔をした。
『財前さん……そんな悪魔みたいな顔しとったら、天使みたいな顔になってまうで』
「…………」
『なっ!?うちの定番ギャグを笑わへん奴がこの世に居ったんか?!そんなバカ貝みたいなことがあるんか??』
「………………」
ー……どこがギャグやねん。
『ん〜財前さん、侮れへんなあ』
ー……こいつ苦手や。
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