BOOK

□空を著る
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私が3歳くらいの頃のことだ。

昼下がりに屋根へ登って空を仰いでいた。


飛行機の軌道から取り残された様な飛行機雲。
鮮やかな色彩。
雲のしろさ。
頭上のギラギラ輝く太陽。

それらを纏う空の澄み渡る蒼さ・・・


いつもより近くにある空をもっと知りたくなった。




近くを通った兄に空は何色なのかと聞いた事があるが、
「青空というのだから青」と返答をされた。

が、私は納得がいかなかった。



なぜなら空は朝、昼、夜と表情を変え、人々を楽しませているからだ。

私は空の中でも夕方の橙と紫の混じるグラデーションのコントラスト、夜の瞬く星、そこで垣間見られる何千もの物語が好きであった。

しかし兄は昼が好きだと言った。
ゆっくり雲の流れるところが好きなのだそうだ。

でもゆっくり流れるとはどのようなものかと聞いたら
「どうなんだろう」
と行き詰まってしまった。



一言に空と言っても曇り空であったり晴れていたり、雨が降っていたり、、、

一秒毎に姿を翻す空を言葉にしようとするとなかなか難しい。



もしかしたら、空は何色でもないのかもしれない。

空のグラデーションは何色なのか、
太陽の色なのか、
言葉は自然に足元にも及ばないのだと、実感をした。



言葉はまだ夜の瞬く星の中で、朝陽が登るのを待っている段階なのかもしれない。





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