王子様と執事

□Eyes on me
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何とか席に着いてみると、イネスが言った様に凄くいい席で、前から5列目の真ん中だった。

この大講堂は、学内で一番に大きな施設で、ちょっとしたコンサートホールの様な作りになっている。

実際に一般の人が来る演劇公演などにも使われたりしているのだ。


周りでは、これから登場するスペシャルゲストが誰なのか、予想し合う生徒達のざわめきで溢れていた。



生徒A「去年は俳優だったから、今年もまた俳優って事は無いよね」

生徒B「何てったって100周年だから、かなり大物ではあるんじゃない?」


今人気の歌手の誰々がいいとか、あーでもないこーでもないと、各々の希望を出しあっている。


ユナはまだシャルルに来てそんなに日が経っていない為、芸能に関しては疎かった。



イネス「ホント…誰だろうね、
100周年だからさ、大学側も結構気合い入ってると思うんだよねー」


ユナ「そうだよね。節目だもんね。」


すると、"" ブーーッ!""と大きなブザーの音が講堂に鳴り響き、ライトが落ちた。


イネス「いよいよだね!」


まず初めに登壇したのはこの大学の学校長。

何だか興奮冷めやらぬ感じで、100周年について述べている。



イネス「声裏返っちゃってるし…
もう…校長はいいから早くゲスト出せっつの!」


イネスがヒソヒソ声で言った。


校長「……と言うわけで、この我が校記念すべき100周年を迎えた本日、ここにわざわざ駆けつけて下さいませっ…まされ…っ…!

ん〜ゴホンッ!!」


イネス「ブッ!!噛みまくってるじゃん!」


あまりの校長のテンパり具合に講堂内がざわめき出す。


校長「え〜静粛に!
え〜、本日のゲストの御方をご紹介させて頂きます!

それではっ!

どうぞっ!起こし下さいませっっ!!」



真っ暗になって舞台袖にスポットライトが当たった。



そのスポットライトの中に現れたのは…



イネス「……え…?」


生徒達「………………っ」


ユナ「……?!!」





校長「…我がシャルル王国、時期国王!
エドワード王子様にございますっ!!」


そう紹介されると、エドワード王子はニコッと微笑んで、右てをサッと上げた。




生徒達「…………っ!

キャ〜〜〜〜〜〜っっ!!!」


鳴り止まない悲鳴に近い様な歓声の中、エドワード王子は颯爽と舞台中央に進んで行った。



生徒達「キャ〜〜!!
エドワード様〜ッ!!」




ユナ「…エドワード王子…!」


イネス「きゃー!凄い!エドワード様だよっ!!
まさか王子様が来るなんて!!
ね!ユナっ!!」


ユナ「えっ?!あ!うんっ!
……」


そこに立っていたのは、以前、偶然出会い、ノーブル城のパーティに連れて行ってもらい、その後も何度かお茶や、他の色々なパーティに誘ってくれている、シャルル王国のエドワード王子だった。



ビックリして呆然としていると、エドワード王子が私を見て、ニコッと笑ってウィンクをした。


生徒達「きゃ〜〜っ!
今私の方見てウィンクした〜!」


"" エドワード王子…私って気付いてるのかな…""



エドワード「皆さん。
創立100周年、おめでとうございます。
この様な素晴らしい日にお呼びいただいた事を、とても嬉しく思っています。」


生徒達「キャ〜〜〜ッ!!」


エドワード「…フフ……、ありがとう。
今日私は、ここへ、是非お祝いの言葉を述べに…と参りました。

なので、ゲスト講師として来た訳でありません。
私はまだ王子の身で未熟ですから、皆さんから教えて頂きたい事なら山ほどありますが、お教えできる事は少ないのです。」


生徒達「えええ〜〜!
エドワード様〜っ!
………エドワード様がいい〜っ!!」



エドワード「フフ…、嬉しいですね。

でも心配しないで下さい。

私も、今日は特別ゲストを呼んでいます。


城には、
私達の身の回りの細かい所から、城全体の管理、公務やそれに関するありとあらゆる事を取り仕切る、

『執事』

と言う存在があります。


王家の執事には、マナー、知識教養、管理能力、容姿に至るまでが、高いレベルで求められます。


その中でも、私達が加盟する六カ国の中心に位置し、世界中から" 聖なる地 "と崇められるノーブルミッシェル城……

そのノーブルミッシェル城において、現城主、ノーブルミッシェル13世に仕える、最高位の執事がいます。」



"" …え……、まさか…? ""
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