王子様と執事

□スペンサー家の憂鬱
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((クロードside))


全くあの方はせわしない、騒がしい、学習しない…

なぜ、あの様なただの学生をノーブル様が気に掛けているのか…
皆目検討が付かない。

彼女がここに来てからウィル様も何やら様子が以前と違うし、使用人達も何かと彼女を構いたがる。



心ではそうイライラした気持ちを抱えながらも、一流の執事らしく歩く所作はいつも通り颯爽と優雅である。


"" コンコン ""


??「クロードか?」

クロード「さようでございます。」

??「入りたまえ」

クロード「失礼致します。」

いつもの様に無駄のない動きでスッと部屋の中へと足を進める。

クロード「お呼びでございましょうか、国王様。」

国王「うむ。
実は少々面倒な事になってな…」

国王は威厳のある顎鬚を手で摩りながらクロードに目をむけた。

クロード「…困った事…と申しますと…」

国王「うむ…スティーブの件だが…、 」

クロード「…はい。」


"やはりスティーブ様の事か…"

ウィル様の兄君のスティーブ様は、ご自分の夢を叶える為、以前から王家を出て行かれている。

弟君のウィル様が王位継承者になられ、昔から繋がりのある良家のご令嬢のセシル様との婚約が進められていたが、いつからか愛を育まれていたスティーブ様とセシル様が、今になって、半ば駆け落ちとも言える様な形で、この国を出て行かれてしまったばかりだ。


国王「…正式に王位継承者になったウィルに、許嫁が出来たと、王妃が既に周辺に漏らしてしまってな…。」

クロード「…王妃様が…」

国王「…まだ、どこの令嬢かは明かしていない様だが、その時に、ウインザー家のエスター夫人から、ウィルと婚約者も参加するお茶会を催そうと言う提案があった様で、王妃がその申し出を受けてしまった様なのだ。」

クロード「!ウインザー家でございますか?!
…既にお受けしてしまったのならば、困った事になりました…
日程はお決まりになっておられるのですか?」

国王「…それが、一週間後なのだ…」

クロード「!!一週間後でございますか?!
…ウインザー家となれば…お断りするのは難しいでしょう…。」

国王「あぁ、我が国においてウインザー家の影響力は大きい。
しかも今回のお茶会はウィルの婚約者の初お披露目の意味が大きいからな。
エスター夫人が大いに期待しているそうだ…。
準備もほぼ万端だと、昨日夫人から直接連絡があった様なのだ。」


もちろんセシル様はもうスティーブ様と国を出られて消息不明なので参加は無理だ。

かと言って一週間後に迫った今、他家のご令嬢を急遽探すのも無理だし、何より王家を出たスティーブ様と、王位継承者の婚約者が駆け落ちしたなど公表できるわけも無い。

国王様と王妃様も八方塞がり…と言った所だろう。

クロード「いかがなさるお考えでしょうか?」

国王「うむ…お前は何か良い考えはないか?」

クロード「…私は…
ウィル様にはまだお話になっておられないのですか?」

国王「ああ。
お前の方から伝えてくれないか。」

クロード「かしこまりました。
本日中に何か意見をお出し出来る様に、私の方でも考慮させて頂きます。」

国王「頼んだぞ、クロード」


クロード「恐れ入ります。」


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