短編集

□君の温もり
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ーーー君の温もりを感じていたいんだ

ーーーーいつまでも 夢の中さえも

ーーーーー愛する君の温もりを





***




ガチャ


「たぁいさ〜!?・・・あれ、ここにもいないか」


「あれ、ウェルコット中佐どうしたんッすか?」


「あ、ハボック少尉。」


「また、大佐お得意の逃走ッすか?」


「そうなの。まだ山程書類が残っているのに・・・ハァ」


「大佐のお守りも大変ッすね;」



全くどこに逃げ込んだんだと、呆れと疲れをみせるミシェル。

ハボックはそんな、ミシェルに同情、哀れみの視線を向ける。

こうも逃走ばっかりされると、椅子に鎖で繋げておきたくなると再度ため息をつく。


「ま、中佐なら捕まえられますって、んじゃ!俺も仕事あるんで失礼しまっす!」

「あ、うん。お疲れさま」


そのまま、仕事に戻っていったハボックを目で老いながら、本当にどこにいったんだろと思考を一人巡せてみる。

そういえばと、不意に最近いつになく眠そうな大佐の顔が浮かんだ。


「・・・もしかして」


誰にも聞こえないような声で呟き、踵を返してとある場所まで向かう。


ーーー仮眠室


ガチャ


「大佐?いますか?」




返答がないので、仕方なく奥まで歩み進める。


・・・あ、いた。

寝ているのだろうかと思いベットの横の椅子に腰掛ける。

ん〜と唸りながら、眠そうな大佐の顔を思い出して、起こすかどうか迷う。

もう少ししてから、もう一度来ようと思い腰を上げようとした時だった。


「・・・うぅ。も、ぅ・・・やめ、」

「?大佐?」


うなされているのか、額に汗がうっすらと浮かんでいる。
その汗を、持っていたハンカチで拭いながら起こすように呼びかける。


「大佐、大丈夫ですか?大佐、マスタング大佐、」


その瞬間、額の汗を拭っていた手をガッシリ掴まれる。と、同時に閉じていた目がうっすらと開かれる。


「・・・ミシェル?」

「大佐?大丈夫ですか?うなされていま、うわっ!」


いきなり、掴まれていた手を引かれたためバランスを崩して腕の中にすっぽり埋まる。


「ちょ、ちょっと、大佐?どうし、」

「ロイって呼んでくれないのか?」


そういって、さらに抱きしめる力を強める。


「大佐、まだ勤務中ですよ?」

「ロイ、だ。」


ミシェルは、これは何を言っても無駄だと悟ったのか名前で呼ぶ。


「ロイ・・・」


呼ばれたことが嬉しかったのか「ミシェル・・・」と名前を呟きながらギュッと抱きしめる。


「ロイ?どうしたの?大丈夫?」

「大丈夫だ、少し嫌な夢をみた」

「もしかして、最近眠そうなのってその夢のせい?」


眠そうなのに気づいていたのかと、内心ロイは驚く。


「あぁ、夢見が悪くてね・・・寝れないんだ、」


そういうと、急に頭をなでられロイはびっくりする。そして、体がゆっくり離れて手を握られる。


「ミシェル?」

「もう少し、休んで?ここに居てあげるから」


手を繋いでれば怖くないでしょ?そう言って、握っている手にもう一度
ギュっと力を入れる。


「はは、ミシェルにはかなわんな。ありがとう。おかげでゆっくり眠れそうだよ」

「うなされたら、私が助けてあげるから」


そういって、ゆっくり微笑んだ。
あまりにも綺麗に微笑んだためにロイの顔が少し赤くなる。


「・・・ミシェル、もっとよく眠れる方法があるんだが」


そういってロイは、照れくさいのを隠すように、いつもの笑顔で、握られている手を引っ張った。


「えっ、ちょっとロイ!?」

「・・・一緒に寝ればいい夢が見れる」


そして、ギュッと抱きしめる。


「もう、ロイ・・・今日だけだよ?」

「ん・・・」


仮眠室のベットに2人で寝るの少々きついが、その分ギュッと抱きしめてくっつく。

くっついている為か、この狭いベットで抱き合っている気恥ずかしさで火照っているのか、温もりが暖かい。

その温もりに、寝ようと思っていなかったミシェルもウトウトしだす。


「?・・・ミシェル?」


ロイは、ククと笑みを漏らすと同時に「おやすみ」と額にキスを落とす。

私は、君がそばに居てくれるだけでいいんだ。

それだけで安心するんだ。


君の温もりを感じていたいんだ

いつまでも 夢の中でさえも

愛する君の温もりを

おやすみ ミシェル










ーーーーーーー
あとがき

いやぁ〜思ったよりも甘めになりました。笑
何故か、最初にちょっとハボさんを出しました・・・意外に好きなんですよね。(あ、浮気ではありませんよ〜)
ん〜ロイさん寝相良さそうだから、狭くても一緒に寝れそうですよね。笑

気に入って頂ければ幸いです。

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