運命ワ廻ル
□桜の色は血の色
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ある晴れた日 それは突然の出会い 運命が回りだした
白い影はニヤリと笑う
【さぁ― 楽しませてくれよ?】
1・桜の花びらは血の色
『もしもし?今日の講義くるの〜?』
友達と電話をしながら河原を歩いている一人の少女。いや、顔は幼いが「女性」と言った方が正しいかもしれない。
(この時期は河原の桜並木がきれいなんだよねぇ…)
彼女は桜を見上げながら、そう、地面には目もくれずに電話している。
『ちょっと?聞いてんの?』
「あぁ、ゴメンゴメン。そして行かないので、よろしくねっ!」
はぁと短いため息が電話口から聞こえるが、彼女は気にせず電話を切る。
「やっぱり、桜ってきれい… のわぁ!?!?」
何かに躓いたのか、あまり女性にしてはよろしくない声と同時に、べしゃっといい音がして地面に倒れこんだ。
しかし、いつまでも倒れてはいられず、うぅ〜と唸りながら、すりむいた手をさすりながら起き上る。
「いったぁ、何なのよ…って人?」
桜の木の下には、青い服?を着た男性らしき人が横たわっていた。
疑問形なのは、普段着にしては幾分かキッチリとした格好で、映画にでも出てきそうな服装だった為だ。
顔を覗き込むと、綺麗な黒髪の間から整った顔がうかがえる。
(うわ、綺麗な顔してる・・・)
思わず黒髪に触れようと手が伸びるが、小さなうめき声で手を引っ込める。
「?お兄さん?大丈夫ですか?」
心配になり揺すってみると、抑えていた手が滑り落ち、赤い液体が脇腹から出ているのがうかがえる。
「なにこれ…、血…??」
桜の木の下…
人…
血…
『桜の色は血の色』あの言い伝えの話が本当なのかと一瞬錯覚してしまった。
揺すった所為か、痛みでか、うっと唸った後ゆっくり目が開いた。
「あ、お兄さん大丈夫ですか…?酷いケガですけど…」
「君は…?・・・・・!?ココはどこだ!?うっ…」
「!動かない方がいいですよ!」
とりあえず、落ち着いて下さいと肩を押さえて座らせる。
「すまない、…状況を説明してくれるか?」
彼の言葉で、とりあえず状況を説明してみた。
まぁ、説明と言ってもそう話す事もないのだが…
桜を見上げて歩いていたら、何かに躓いて転んだこと、起き上ってみると、青い服のお兄さんが血を流して倒れていた事。
ただ、それだけなのだから。
「そうか…しかし、ここはいったい…テロリストを排除している最中のはずだったんだが…」
今、耳を疑う発言をキャッチしました。はい。テロリスト?
「あの、テロリストって…ここ日本ですよ?そんなのいるわけないじゃないですか。」
「ニホン…?ここはニホンと言うのか?」
(え、日本人じゃないの?まぁ、テロリストがどうこういっているし…)
ケガで頭がやられたのかとも思ったが、あまり嘘をついているような顔ではないので、とりあえず、外国人さんってことで一人納得してみた。
一人呟いていると、何をぶつぶつ言っているんだね、なんて言われた。
話し方もちょっと変わっているみたい。
「とりあえず!!」
急に、立ちあがって手を差し出した。
彼は頭の上にハテナを浮かべる。
「ここで話しててもしょうがないじゃないですか?ケガも酷いし、病院じゃ、テロリスト…?とか言ってるし、お兄さんどこの人か分からないから、とりあえず家に来てください。」
そう言って、彼女はへらっと笑った。
「(…可愛いな、)…しかし、迷惑かけるわけにも」
「はぁ、私がお兄さん発見した時点で遅いです。今更ですから。それに家もすぐそこなんで、いきましょ。」
そして、もう一度手を差し出すと、今度はしっかりと彼女の手を握った。
「ありがとう」
「いえ、ほっとけないんです。困ってる人」
そういって、笑顔を向けて、彼の手を引きながら帰路を辿る。
「・・・咲。」
「え?」
「咲・・・名前よ」
そう、手を引きながら先を行く彼女は言った。
「そうか、私は…ロイだ。よろしく、咲」
それだけが、彼女の家に着くまでに交わされた会話。