長編(男主)

□第2話 黒髪の……
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「浩太〜これ頼む!」
「ああ」


チーフの言っていた通り今バイト先は人でいっぱい。
見たことない人が行き交ってる。そのほとんどが派遣らしい。
一度見た人が次の日も来ていることはほぼ無い。
バイトの僕がそんな人と組むと能率が下がると判断され、派遣ではない短期のバイトと組んでいる。

でも相方は、女の子。
力仕事に回されるなんて、この子なにしたんだろ?

女の子の大半は梱包と事務作業。
たまにこういう子が来るらしいが、めったにいないと言っていたのに。


春休みバイトが来るようになって数日。
力仕事担当の僕は派遣バイトの男の人と組んでたのだが、毎日毎日入れ替わるため説明が上手くできず、仕事が滞ってしまっていた。

チーフに呆れられながら、『今日からはこいつと組め』と回されたのが今の相方。
事務をしていたらしいが、『細かい作業や数字も苦手』とこっちに回されたらしい。派遣ではないのでしばらくは連日来るし、都合がよかった。
でも、どうも壁を作らないタイプと言うか、馴れ馴れしいというか。
初対面で『浩太』と呼んできた。チーフがそう呼ぶからだろうけど。
とてもじゃないけど僕は初対面の異性相手に名前の呼び捨てなんて出来ない。
男と女の子じゃ違うのかな?

ブー!ブー!と正午の時報が工場内に鳴り響く。

「お疲れ様。田井中さん。午後からもよろしくね」
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