長編(パロ)

□file,5 新しいご主人様
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“私の新しいご主人様はなぜあんなに自信なさそうな魔法の使い方をするんだろう?”

先日、ご主人様の同級生家族への魔法の使い方は、あまりにも消極的だった。
その割に力が強いものだから暴走。ご主人様共々巻き込まれた……。
変な話をしてしまった。恥ずかしくてしかたないですよ。

でも、恥ずかしさ以上に悩むことは、時間切れもあって一番大事なことを言えなかったこと……。
ご主人様がくれたチャンスだったのかもしれないのに。

言わなきゃいけないと分かってます。でも言えない。

澪さん、私は今もまだ……“グロッサ”のままなんです……。

私の付けている首輪は“契約の証”澪さんならきっと外せる。
でも私の問題に巻き込んでしまう。そんなこと出来ないです。
あの優しいご主人様を私の過去に巻き込むなんて!!

使い魔になると同意した時、「首輪も替えるか?」と聞いてくれた。
でも、私は否定した。
勘のいい新しいご主人様は何か感じているかもしれない。

……でも、まだ本当の主人様ではないのだ。
本当に“梓”になりたいという思いが日々募っていく。
あの人を知る度に……。

それでも前の仲間やご主人様への忠誠心を無くしたわけではなかった。
心が痛むことは多々あったけれど、私はあの人のおかげで今まで、生きて来れたのだから。

「どういうことよ!!」
洋館の中から罵声が聞こえる。
依頼人の中には、性質の悪い人も多いようだがこんなに激昂していることも珍しい。
興味本位で依頼人が見てみたくなった。

こっそり覗きこむと自らを魔女だと言い張る住人と客が居た。
客を見て思う。


……やっぱり。

澪さんの同級生の家に居た浮気相手だ。
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