starry☆sky  短編

□星の光
1ページ/1ページ





外は雨。
決して豪雨ではなく、しとしとと、ゆっくり世界を濡らしていく。
もちろん生徒会室の大きな窓もしかり。



はぁ…



その前に立ち尽くし、ため息を吐いた。
そして瞳からは涙がこぼれ落ち、この雨のように、はらはらと、私の頬を濡らしていく。



とある仕事で、思い通りの結果が出なかった。
ただそれだけのこと…



決して大きなミスではない。むしろよくある失敗談。現にすぐ立て直しがきいたし、みんな笑って許してくれた。
私だって、いつもなら「ありがとう」って笑い返せた。
なのにあのとき、



笑えなかったのは何故…?



俯き、自分を責める。
責められた自分は、後悔の言葉を口にする。
頭の中で討論する2人の自分、2つの意思。
流れる涙はどちらのものか…



2つの意思を感じながら、虚ろに外の様子を眺めていれば、突然後ろから抱きしめられた。



「−−−…!!」



そして続いて左肩に何かが乗せられる。
そちらを振り向けば



「一樹会長………」



私の肩に頭を乗せ、至近距離で優しく笑いかけてくれる一樹会長。
柔らかい髪の毛が、濡れた頬に当たってくすぐったい。



「な〜んだ、落ち込んでるのか?」



「!−−−………」



いつもと変わらない笑顔と温もり。
甘えたくなってしまうのに耐えれば、より一層強く抱きしめられた。



「!!」



まるで小さな子供を全身で包み込むように。



「かいち「よく頑張った…」!!」



耳元で囁かれたその言葉に目を見開いた。
会長の表情を伺おうとするが、首筋に顔が埋められていてよく見えない。



「お前は頑張ったよ…、今日だけじゃない。
いつだって、お前が誰より頑張っていることを、俺は知ってる。」



先ほどまで見開かれていた瞳から、今度は大粒の涙がこぼれ落ちた。
会長の言葉が、少しずつ、私の中で泣き叫んでいた2つの意思をなだめていく。



「たまにはこんなことだってある。
だが結果がすべてじゃない。」



言いつつ会長が顔を上げ、やはりいつもの優しい笑顔で笑いかけられる。


「翼の言葉に便乗するようだが、これは成功のための失敗だ。
この失敗は、いつか来る俺たちの未来を、より明るくしてくれるはずだ。」



「っ−−−…ぅ…」



「だからほら、泣くな!」



「ムリ…ですよ………
一樹会長の言葉が、臭すぎてっ…」



「な!?おまっ!!
それはヒドすぎるだろ!」



「うわーん!」



「!!」



クルリと後ろを振り返り、今度は私が一樹会長に抱きつく。
そして小さく呟いた。



「ありがとう…」






































“私の太陽”
ほら、光が差し込む




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ