starry☆sky 短編
□星の光
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外は雨。
決して豪雨ではなく、しとしとと、ゆっくり世界を濡らしていく。
もちろん生徒会室の大きな窓もしかり。
はぁ…
その前に立ち尽くし、ため息を吐いた。
そして瞳からは涙がこぼれ落ち、この雨のように、はらはらと、私の頬を濡らしていく。
とある仕事で、思い通りの結果が出なかった。
ただそれだけのこと…
決して大きなミスではない。むしろよくある失敗談。現にすぐ立て直しがきいたし、みんな笑って許してくれた。
私だって、いつもなら「ありがとう」って笑い返せた。
なのにあのとき、
笑えなかったのは何故…?
俯き、自分を責める。
責められた自分は、後悔の言葉を口にする。
頭の中で討論する2人の自分、2つの意思。
流れる涙はどちらのものか…
2つの意思を感じながら、虚ろに外の様子を眺めていれば、突然後ろから抱きしめられた。
「−−−…!!」
そして続いて左肩に何かが乗せられる。
そちらを振り向けば
「一樹会長………」
私の肩に頭を乗せ、至近距離で優しく笑いかけてくれる一樹会長。
柔らかい髪の毛が、濡れた頬に当たってくすぐったい。
「な〜んだ、落ち込んでるのか?」
「!−−−………」
いつもと変わらない笑顔と温もり。
甘えたくなってしまうのに耐えれば、より一層強く抱きしめられた。
「!!」
まるで小さな子供を全身で包み込むように。
「かいち「よく頑張った…」!!」
耳元で囁かれたその言葉に目を見開いた。
会長の表情を伺おうとするが、首筋に顔が埋められていてよく見えない。
「お前は頑張ったよ…、今日だけじゃない。
いつだって、お前が誰より頑張っていることを、俺は知ってる。」
先ほどまで見開かれていた瞳から、今度は大粒の涙がこぼれ落ちた。
会長の言葉が、少しずつ、私の中で泣き叫んでいた2つの意思をなだめていく。
「たまにはこんなことだってある。
だが結果がすべてじゃない。」
言いつつ会長が顔を上げ、やはりいつもの優しい笑顔で笑いかけられる。
「翼の言葉に便乗するようだが、これは成功のための失敗だ。
この失敗は、いつか来る俺たちの未来を、より明るくしてくれるはずだ。」
「っ−−−…ぅ…」
「だからほら、泣くな!」
「ムリ…ですよ………
一樹会長の言葉が、臭すぎてっ…」
「な!?おまっ!!
それはヒドすぎるだろ!」
「うわーん!」
「!!」
クルリと後ろを振り返り、今度は私が一樹会長に抱きつく。
そして小さく呟いた。
「ありがとう…」
“私の太陽”
ほら、光が差し込む