starry☆sky 短編
□星の背中
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「っ…!ねぇっ、一樹?」
「なんだ、こんな時にっ…
チッ、まだ来やがるか!
キリがねぇ!」
背中に感じる温もりと、至る所から飛んでくる返り血。
お互い、前だけを向いて戦う。
背中はもう一人に預けている、つまりは命を半分、お互い預けているのだ。
「いや、ごめん…
声聞きたかっただっけっ!らぁ!」
右手に握った短剣をよけて来た敵に、蹴りをかましながら答えれば、後ろで少し相棒が笑う気配がした。
「このタイミングでそんな可愛いこと言うか?」
それに恐ろしいくらい安心感を覚えて、あぁ、自分も弱くなったと実感する。
この、守り守られる関係で、沢山の仲間が死んだ。
この関係は、私たちを弱くする。
私たちはそれを知っていて尚、こうなることを選んだ。
お互いをお互いと言う鎖で繋ぐために。
「人数っ、多いね!」
「あぁ、こりゃ長くなりそうだ…!」
左手に構えていた銃で遠方の敵を乱射しつつ、正面の敵はしゃがんでがら空きだった足を払い、倒し込む。
同時に右側の敵の脇腹に短剣を刺し込めば、自然と一樹と背中が離れた。少し、少しだけ不安になって、すぐに先ほどの体制に戻る。
と、何かが当たった背中に寒気が走って、私は迷わず背後に銃の引き金を引いた。
ガンッ!と言う音はゼロ距離射撃の証拠で、同時に赤い液体が辺りに飛び散る。
私が背後の確認もせずに再び戦い出せば、程なくして背中に温もりが戻ってきた。
「よく分かったな、俺じゃないと。」
心なしか嬉しそうな声に、私も笑って答える。
「当たり前!」
それが合図。
2人は背中を預けたまま残りの残党を殺しに掛かった。
あなたの背中、あなたの命。