企画物

□優羽さんとの相互記念
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『忘れてた…!』


『?何を?』


『今日、流星群が見える日だ…!』


「あー、んじゃベランダで見ようか」


咲夜を抱えたまま七歌が立ち上がりスタスタと歩き出す。


「………なな、下ろしてくれない?」


「えーいいじゃん、このままでも」


「……七歌、下ろして」


「……はい」


七歌は渋々と咲夜を下ろすと、ベランダの鍵を開けて外の様子を伺った。


「雲も少ないしいい感じ!ちょっと寒いから姫様方は何か羽織っておいで」


『はーい』


『星、“姫”スルー?』


『流星群、流星群♪』


『違った。今の星は流星群のことしか頭にないんだ』


『ほら、早く行こ!』


『はいはい』


星と夢がカーディガンを羽織ってベランダに出る。


『わぁ!星がよく見える!流れ星も早く見えないかな〜!?』


『今日は空気が透き通ってるから、もう少ししたら見えるよ。てか星のテンションMAXだね』


『流れ星まだかなぁ?』


『聞いてないね。…ま、星が笑顔何だからいっか』


「ははっ!はしゃいでる星も可愛いじゃん?女の子は笑顔が一番!!」


「星ちゃんは本当に星が好きなのね」

ストールとパーカーを手に咲夜がベランダに出てきた。


「なな、これ」


「ん、ありがと」


咲夜の差し出したパーカーを七歌が受け取り羽織る。

「ここってホントに星が綺麗に見えるよね」


「そうね。星好きの人達からしたら最高の場所よね」

「……ずっと星なんか見えないとこで育って夜空なんか見上げるこてもなくてさ、星が好きでこの学校に来たわけじゃないけど、ここに来て好きになれたよ」


「私も星なんか関係ない理由で転校してきたけれど、初めて屋上庭園で夜空を見上げたとき凄く感動したの覚えてる」


「あの空が降ってくるんじゃないかって感覚は忘れないわ」


『あ、それ私も分かるな〜…!』


星がそう言ったと同時に空に一筋の光が通った。


「「『『!!』』」」


『ねぇ!見た!?今のすごく綺麗だった!!』


ベランダの手すりから身を乗り出す星。


『見た見た!あ、ほらまた流れた!』


「咲夜!ほら、見た!?あ、また!!」


「ふふっ、ちゃんと見えてるから」


『綺麗…………、やっぱりいいな、こういうの。
みんなで見る星空はいつもの何倍も綺麗で、何倍も温かくて…。何よりも思い出をくれる。
私、絶対に今日のことを忘れないよ!みんなが、星空がくれた大切な思い出だもん!』


星がニカッと笑い、それを見た3人もつられて笑う。


『星の魔法って、こういうのを言うんだろうね。星空は自然と人を笑顔にして、幸せを運んできてくれる…
私もいつか、この星空みたいに人を笑顔に、幸せにできるマジシャンになりたい。いや、なってみせるね!』


『ははっ、夢らしいね!』


「夢ならなれるよ!」


「応援してるね」


『みんな…ありがとう。
あ!良いこと思いついた!みんな手!手出して!』


『え、手?』


咲夜と七歌は顔を見合せ、それぞれ手を差し出した。


『うん!で、それを水をすくう時の形にして〜…よし!』


『ゆ、夢?何するの?』


不思議そうな星に対し、夢はイタズラを思いついた子供のように笑い、


『まぁ見てなさいって!』


と言いつつ右手を空に掲げる。


『It is a present from the starlit sky one more.
(もう一つ、星空からの贈り物です)』


そしてその指をパチンと鳴らせば、一人一人の手の上に、星のような光がゆっくり降り立った。


『な、なにこれ!?』


『ほら、みんな!早く捕まえないと逃げちゃうよ!』


「は!?捕まえる!?」


慌てている七歌をよそに夢は自分の前に降り立った光を両手で包み込み、それを見た3人もそれに習う。


『みんなちゃんと捕まえた〜?』


『う、うん!』


『じゃあ開けてよ〜し!中を見てみて!』


恐る恐る手を開いてみれば…


『うわ!』


「へぇ…!」


「これって……?」


そこには華奢なデザインの星のストラップ。


『みんなお揃い…と見せかけて実は色違いだよ!
埋めこんであるストーンの色が違うの!
七歌は赤、咲夜は白、というか透明?星が黄色で私がオレンジね!
今日という日の記念だよ!』


「すっご!!いつ準備したの!?」


「綺麗……みんなでお揃い、宝物にするわ」


『ありがとう夢!』


『うん、みんなが喜んでくれて良かった!
でもマジック使ったら疲れちゃったよ。みんなもう中入ろう〜』


『そうだね、ちょっと冷えてきたし部屋に戻ろっか』


その言葉を合図に4人の少女は部屋へと戻っていった。






どこまでも続く星空に見守られながら…




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