夜空

□涙なんて見せられない
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「大狼」
 ポンと後ろから肩を叩かれた。 夜鷹さんだった。
「よ、よだかさん……」
 俺は、声にならなかった。 こんな顔、夜鷹さんには見せられない。 今、どんな顔をしているのか―――恐らく酷い顔をしているに違いない。
「良くやったぞ」
 夜鷹さんの大きな手が俺の頭を撫でる。
「慰めねーで下さい。 そんな風にされたら自惚れてしまいます」
 俺は、いやいやして夜鷹さんを突き放した。 本当は、夜鷹さんにそんな風に慰めて貰うのはイヤじゃない。 叶う事なら甘えてみたい。 でも今は、酷く惨めな気持ちだからそっとしておいて欲しい。 夜鷹さんが優しい事は、俺も知っている。 夜鷹さんなら泣いている子供がいたらあやしてしまうだろう。 俺は、そんな夜鷹さんが大好きだ。 でも、今は―――。
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