黒鉄

□さよならさんかく
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「そう、シドウって言ったっけ。 お前達付き合ってるのか!?」
「え!? 付き合ってるって、僕達男同士だし、そんな事―――」
 僕は、あたふたとなる。
「良かった」
 すると、こーちゃんは、僕の手を握った。
「何が!?」
「それなら俺にもチャンスはあるって事だよね」
「こーちゃん」
 こーちゃんが僕を見ている。 特別な眼差しで。
「別にいいだろ、ヒロト」
「ごめん」
 僕は頭を振った。
 自信がなかった。
 こーちゃんと僕では余りに不釣り合いだ。
 ヒーローだなんて言って、結局、僕はこーちゃんに甘えてばかりいる。
 このままじゃいけない。
 だから、別れようと思った。
 自らこの思いにピリオドを打とう。
 いつまでも君に頼る訳にいかないから。
「ヒロト!?」
「さよなら、こーちゃん」
 さよなら、僕のヒーロー。
 僕は、こーちゃんにコーヒー代を払って店を出ようと席を立った。
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