黒鉄

□お見舞い
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「シドウ!?」
 怪訝そうにシドウの顔を窺うヒロト。 ドキドキと高鳴る心臓の音はヒロトに聞かれてはいないか!? 恥ずかしかった。 シドウもヒロトも男同士だからそういう事は気にならない筈なのだが、今日は、やけに意識してしまう。 この距離の所為か。 近い。
「何でもない」
 素っ気ない言葉を口にするもシドウはヒロトの事が気掛かりだった。
「シドウ、顔赤いよ!?風邪うつったかな」
「大丈夫だ」
 ぶんぶんと頭を振るシドウ。
「そう!?」
「クロガネ、明日位には風邪治ってるよな!?」
「……多分……」
「ライバルがいないと張り合いがないからな」
 シドウの顔が赤いのは、西日の所為ではなかった。
「シドウ、やっぱり風邪……」
 目の前には、ヒロトの潤んだ眼差しがあった。
「俺は平気だ」
 シドウはヒロトを突っぱねた。 だが、やはりヒロトには適わないと思った。





〈了〉
(20120331)
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