黒鉄

□花見においでよ
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 そして、花見当日がやって来た。
「クロガネ君!?」
「やっぱり僕、シドウの所に行って来る」
 ヒロトは、つばめの制止を振り切って、シドウの元へ向かった。
「シドウ、僕だよ」
 そして、すかさずシドウに電話した。
「何、クロガネか」
「シドウ、今何してる!?」
「家の庭で素振りをしている所だ」
「あのさ、この間の約束覚えてる!?」
「あぁ、覚えてる」
「やっぱり、シドウにも来て欲しいなって思ったんだ。 何か君だけ仲間外れみたいで僕は嫌だから」
 ヒロトの他人が傷付くのも、自分が傷付くのも嫌いだという性格がシドウにも伝わって来た。
「判ったよ」
 シドウは、漸く折れた。
「それじゃあ、これから迎えに行くから」
「じゃあ、待っているよ」
 あぁ。 自分もかなり頑固だと思うが、ヒロトの方も相当頑固ではないか。 こうと決めたらテコでも動かない所なんかは自分と似ているなと、シドウは思った。 負けたよ、クロガネ。
 そして、つばめ達が待つ公園に二人が辿り着いたのは、小一時間後の事である。






〈了〉
(20120309)
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