黒鉄

□君だったんだ
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「クロガネ」
 士道が僕に手を差し伸べる。
 この光景―――前にも見た事がある。バレーボールをしていた時、ボールが顔面に直撃して僕は昏倒した。その時、僕に手を差し出してきた少年―――僕が憧れるヒーローそのものだった。
 そうか……僕は、確信した。あれは、士道―――君だったんだね。僕のヒーロー。僕の憧れ。
 僕はヒーローになりたかった。そう、君みたいな。いいや、違う。僕がヒーローになるんじゃなくて君と出会いたかったんだ。
「あ、シドウ」
 僕は、士道の手を握り返した。
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