夜空

□幼い微熱
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 本当にやって来たんだ! 空は、白亜の講堂を目の前にひしっと実感する。 殊、剣道では日本一を誇る名門白零。 自分もその生徒の一員となれた事が何より誇らしくて。 そして、何より―――。
「夜鷹さん!」
 すると、夜鷹と呼ばれた男は、空の方を見た。
「何だい!?」
 そして、振り向き様、空は、ストレートに言った。
「好きです!」
 ―――と。 何の躊躇いもなく、ごく自然と。 自分は、『剣聖』と呼ばれるこの男に憧れ、この 高校を受験したのだ。
「嬉しいね」
 夜鷹もまた、空のアプローチに微笑みで応える。 そこには、『剣聖』の余裕すらあった。
「またまた、夜鷹は甘いんだから」
 そう言ったのは、二年の童子。
「夜鷹は、男女問わず自分に好意を持った人間に対しては誰にでも気を許すクセがあるんだから」と。
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