夜空
□夜空を見上げて
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子供の頃から星を見るのが好きだった。 夜鷹は、ふと空を仰いだ。 稽古の後、夜の屋上から星空を眺めるのが夜鷹の趣味だった。
「付き合わせてしまってごめん」
その夜鷹の視線の先にあるのは後輩の空だった。
「いーえ、全然!」
空は無邪気な笑顔を振りまいて即答した。
「夜鷹さんと一緒に居られるだけでスゲー光栄ですから」
「そう、なら良かった」
夜鷹も笑顔でそれを返した。 そこには、『剣聖』と謳われ、誰もが羨む立場にある者の風格があった。
一方、憧れの先輩を前にして、空は心臓が昂った。
「あの、隣良いですか!?」
「いいよ」
「わーい」
空は、言いながら、夜鷹の隣にそっと腰を掛けた。 そして、夜鷹の顔を盗み見る。
見上げれば星が満開の夜だった。
〈了〉
(20120406)