黒鉄

□もっと知りたい
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「少なくとも俺は親友だと思っていた」
 シドウは、そうポツリと言ったきり言葉を閉ざしてしまった。
「シドウ、あのさ霊峰君の事だけど」
「それなら白鳥か誰かに聞いてくれ」
「シドウ」
「悪いが答えるつもりはない」
 霊峰陽。 落陽高校のエース。 白鳥さんからの話では、それ以外の詳細は不明。 判っている事はその事とシドウが言っていた親友だったの一言。
 僕は、シドウと彼の間に何があったのかを知らない。 当然、知る権利はない。 それをシドウが許さない限りは。
「シドウ、何があったの!?」
 僕のその言葉に苦虫を噛み潰しながら負傷した方の左腕を見つめている。
「知ってどうするつもりだ、クロガネ」
「だって僕達友達同士なのに何も知らないなんて―――僕はシドウの事もっと知りたいのに」
「クロガネ」
 僕は残酷だろうか。 知られたくない過去を知られると言う事は。
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